ブログを更新しました_2024.6.14(2024 名刺デザイン更新! パート2) ブログを更新しました_2024.9.1(過去の実績紹介(造船所勤務時代))

【気象庁 海洋気象観測船】4代目「凌風丸」就航

運営

造船所勤務時、最後の担当船であった気象庁向けの海洋気象観測船「凌風丸」が就航し、海洋気象観測を4/26より開始したとのニュースが入ってきました。
気象庁と言えば、天気予報や地震に関わる報道が多く入ってきますが、船舶を用いた様々な気象に関する調査を行っています。継続的な観測を行うことで私達の生活環境に対して予測を行い、様々な対策を行うことができ大変貴重な業務となっています。

出典:気象庁ホームページ

本船は気象庁が船主、建造所が(株)ジャパンマリンユナイテッド、建造工事監理が日本造船技術センター(SRC)の3者が各々の経験と知識を持ち寄り計画、建造を行った船です。
私自身も当初から仕様に関して深く関わらせていただき、基本設計や機能設計において20年以上の設計経験を存分に発揮しました。幾度もお打ち合わせさせていただき、運用要領やこれまでの不具合事例などもお聞かせいただきながら理解を深めて設計に携わらせていただきました。

近年の建造船は環境対策等のためのハイブリット推進は当たり前、女性専用区画の設置を含め快適な居住性を確保する傾向にあります。本船も先代は30年以上運航され、全体的には綺麗に使われていましたが部分的には老朽化が著しく、各装置のメンテナンスも大変になってきているようです。

私は構造屋として壊れない、振動トラブルのない安全な船を第一として設計しますが、運航目的である観測業務や居住快適性を実現するための工夫を重ねて多くの設計変更依頼に対応しました。
特にピラー(支柱)の本数・配置や構造連続性を担保するブラケットなど、構造強度には必須である部材を強度を担保しながら本船の機能と快適性を最大限に活かせるような設計を心がけました。

船舶設計者として防衛省や保安庁、水産庁のような脅威に挑む船を多く設計してきました。これらは一般の船とはことなり最大出力時に大きな威力を発揮し、船にとって負担が大きくなります。よって最大出力時には堅牢な構造が最も重要となります。一方、通常の移動航行時には快適性が求められますので非常に難しい設計でした。
「凌風丸」は移動や観測業務がメインですので、乗員の快適性が最も重要視されます。過剰な構造とならないように快適性や機能性を発揮できるか、艤装設計者の要望に応えられるかが重要になります。
こういった想いを持って設計した船ですので実際の業務で快適性や機能性を十分に活かしていただければと思います。

船の設計だけではありませんが、製品の目的に対して運用者の視点で最適な設計思想を持つことが重要です。
この設計思想は専門的であり運用者(発注者)が的確に依頼することは難しくあります。
このような場合は双方の間に入り偏った思想で設計や建造が進まないように管理する私達コンサルタントが必要になるケースが多くあるかと思います。
コンサルタントを介することで発注者の若手教育の場にもなり、次回以降はコンサルタントがなくとも進めやすい環境ができることもメリットの一つとなります。
私は構造を主としていますので、あまり目に触れることはありません。しかし目に触れないからこそ重要な部位であることは間違いありません。

構造に関すること、それに関係して気になることがありましたらお気軽にお声掛けください。

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